あなたはこんな経験をしたことありませんか。
- 久しぶりに子どもの頃から通い慣れた漁港に足を運んだら、入口に「釣り禁止」の看板が立っていた。
- 昨年まで普通に入れていた堤防に、なぜかフェンスが張られていた。
- 地元の釣り仲間が「あそこ、とうとう禁止になったわ」と、ため息混じりに話してくれた。
富山で釣りをしている人なら、一度や二度ではなく、こういう場面に出くわしてきたはずです。
実際に筆者も経験がありますし、なんだか複雑な気持ちになります。
年々、釣り場は減っている。それは気のせいでも、誰かの思い込みでもない。確かな現実です。
富山の釣り禁止エリアは、年々確実に増えています。気のせいでも、誰かの思い込みでもない。確かな現実です。全国的に見ても釣り禁止エリアは増加傾向にあり、富山も例外ではない状況。
本記事では、釣り場がなぜ次々と禁止になっていくのか、その複合的な理由をまとめます。
「釣り禁止」について怒りや悲しみを持っている人も、ぜひ最後まで読んでほしいと思います。
富山の釣り場が減り続ける5つの理由

釣り場が禁止になる理由は、ひとつではない。複数の問題が重なり合い、やがて管理者が「もう限界だ」と判断した時、フェンスが立ちます。
① ゴミのポイ捨て・釣り針の放置
釣りをした後のゴミをそのまま置いていく釣り人が、残念ながら存在します。コンビニ袋、エサのパック、ペットボトル。それだけでも十分に問題ですが、さらに深刻なのが釣り針や釣り糸の放置。
漁港は漁師さんたちの職場であり、地元住民の生活空間でもあります。素足で歩く子ども、網を手入れする漁師さん、散歩をするお年寄り。釣り針がひとつ落ちているだけで、誰かが怪我をするリスクが生まれる。
「自分一人くらい」という感覚の積み重ねが、やがて管理者の堪忍袋を切らせることになります。
② 違法駐車・近隣住民へのトラブル
漁港の周辺には必ずといっていいほど、住宅や農地があります。釣り人が路上に車を停め、住民が出られなくなった、農道が塞がれた、という話は富山でも珍しくないみたいです。
特に夜釣りや早朝釣りのシーズンになると、エンジン音やドアの開閉音、話し声が深夜まで続く。
「何度注意しても改善されない」と感じた住民が管理者や行政に苦情を入れ、それが禁止の引き金になるケースがあります。
③ 立ち入り禁止区域への侵入
「立入禁止」の看板があっても、平気で越えていく釣り人がいる。柵を乗り越える、フェンスを曲げてくぐる、夜間に忍び込む。
こうした行為は、ただのマナー違反では済まないお話です。
過去には富山県内でも釣り人の転落による死亡事故が起きており、それを機に全面禁止になった釣り場もある。事故ひとつが、その後何十年もの釣り場喪失につながってしまいます。
現状、富山県内で釣り禁止になってしまったスポットについてはこちらにまとめております。
④ 漁業者・地元との摩擦
これが最も根深い問題かもしれません。
漁港は本来、漁師さんたちが漁業を営むための施設。
釣り人が増えすぎると、漁船の出入りが妨げられる。網に釣り糸が絡まる。
漁師さんが作業中に釣り人と口論になる。こうした摩擦が積み重なると、漁業組合や港湾管理者が「釣り人を入れるのはもう無理だ」という結論に達してしまいます。
また富山の釣り場が完全に釣り禁止となりました。
そして西漁港ではエギンガーと漁師さんが口論になってるところを目撃。釣り場封鎖に待ったなしです( ; ; )
これで新湊周辺で釣りできる漁港はほぼ無くなりました。
この現状をスルーしてみてる大手釣具屋Jさん。動かないと釣具屋自体の需要が… pic.twitter.com/0MAv9pB5Uy
— Keiの暇潰し (@KYouTube13) October 1, 2022
釣り人は「少し端っこで釣らせてもらっているだけ」と思っているかもしれない。しかし漁師さんにとっては「自分たちの職場に毎日見知らぬ人が入り込んでくる」感覚に近い。この温度差が、長年にわたって積み重なると釣り禁止につながることがあります。
⑤ SOLAS条約による立入規制
こちらは筆者も最近調べてわかったことですが、釣り禁止が増えた背景には国際的な条約も関係しているみたいです。
2001年のアメリカ同時多発テロ以降、世界的に港湾施設のセキュリティが強化されたそうです。
国際的な港湾セキュリティ基準であるSOLAS条約(海上人命安全条約)の改正により、国際港湾施設への立入規制が厳しくなり、以前は釣りができた岸壁やふ頭が次々と立入禁止になりました。
富山県公式サイト
港湾における釣り行為等について|富山県
www.pref.toyama.jp
これはマナーの問題とは無関係に起きていることで、釣り人には直接の「落ち度」はないです。
しかしそれでも釣り場は消えていく。ただでさえマナー問題で肩身が狭くなっているところに、こうした規制の波が重なっているのが現実のようです。
「一部の人のせいで」は本当か

釣り場が禁止になると、よく聞くのがこの言葉じゃないでしょうか。
「ごく一部のマナーの悪い釣り人のせいで、まともな釣り人まで締め出された」
その言葉は半分正しくて、半分は間違っていると思っています。
確かに、悪質な行為をしているのはごく一部。しかし「まともな釣り人」が声を上げず、注意もせず、ただ黙って釣りをしているだけでは、管理者の目には「釣り人」という括りでしか見えませんよね。
これは自戒も込めて言葉にしています。
明らかにマナーの悪い釣り人がいても、注意をする勇気が出せなかった経験が実は筆者にもあります。
一部の人の行為を放置し続けた結果が、全員の釣り場喪失につながっているとも言える。
ということです。
富山きときと釣り倶楽部では、釣り文化を守るとは、自分がマナーを守るだけでなく、釣り場を共有するすべての人が気持ちよく使えるよう、コミュニティ全体で意識を高めることだと考えています。
富山の釣り場を守るために、今日からできること

(釣り禁止となってしまった滑川漁港の写真)
悲観的な話ばかりしても仕方がないですが、
釣り場がなくなっていく流れを、少しでも止めるために私たちができることを整理してみます。
ゴミは必ず持ち帰る。釣り針・釣り糸も例外なく。
自分のゴミだけでなく、落ちているゴミを一つ拾って帰る習慣が、釣り人の印象を少しずつ変えていくと思います。
駐車は指定された場所に。それだけで近隣との関係は大きく変わる。
漁港周辺の住民にとって、釣り人は「毎週末やってくる迷惑な集団」になっている場合もあります。
車一台の停め方が、その印象を作ってしまう引き金になることを知っておきたいですね。
立入禁止のルールは絶対に守る。
フェンスや看板は事故防止と漁業保護のために存在しています。
他の釣り人が攻めていない場所に入って魚を釣りたい気持ちもわかりますが、
ルールの守れる素敵な釣り人の方が人間として魅力的ですよね。
漁師さんや地元の人に挨拶をする。
たったひと声「おはようございます」「お邪魔します」と声をかけるだけで、釣り人と地元の関係は変わると思っています。
漁師さんも人間。気持ちよく使ってくれる人を、わざわざ締め出したいとは思わないはずです。
マナー違反を見かけたら、できる範囲で声をかける。
難しいことはわかっている。トラブルになるのが怖いのも理解できます。
ただ、黙って見ていることが「黙認」になることも知っておいていただきたいです。
筆者もできる範囲で声掛けに努めようと思っています。
富山の釣り場をチーム戦で守る。富山湾に敬意を。

(立ち入り禁止となってしまった富山新港からの眺め、2016年頃)
釣り場がなくなることは初心者からベテランまで、あらゆる釣り人に影響します。
富山湾の恵まれた環境の釣り場が、マナー問題によって失われていくのは、あまりにも惜しいと感じます。
筆者も思い出の釣り場は富山県内にたくさんありますが、その思い出を「現地で噛み締める」ことはもうできない場所もたくさんあります。
富山の釣り文化を次の世代に残せるかどうかは、今この時代に富山湾で釣りをしている私たち一人ひとりの行動にかかっています。
富山湾で釣りができることに感謝の気持ちを、一人一人のそんな些細な心がけが色々な人の思い出を守ることにつながると信じています。
富山きときと釣り倶楽部では、富山湾での釣りを楽しむための情報を発信しています。